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桜田門外ノ変も凄い! [映画・テレビ・漫画]

前回紹介した、『サムライ・シネマ』キャンペーン、またまた凄い映画を観てきました。

《以下内容に触れる部分もあるのでまだ観てない人はご注意ください!》

桜田門外ノ変」。公開初日だったんですが、固い、重苦しい、地味な印象のせいか、15時近くの上映回でしたが空いておりました。ゆっくり静かに観られて自分は良かったんですけどね^^。

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(C)「桜田門外の変」製作実行委員会

この前の週に観た十三人の刺客も141分ありましたが、この映画も137分とほとんど変わらない上映時間。十三人の刺客では、ラスト50分の壮絶な大殺陣が続いて長くは感じ無かったのですが、この映画そんな長時間の殺陣はありません。ですが中だるみもなく、まったく飽きないのは史実だからなのかあっという間に観終わってしまった感じです。

◇ ◇ ◇

日本人なら必ず学校で教わっている事件だと思いますが、ちょっと桜田門外ノ変のおさらい

今から150年前の1860年3月3日、水戸浪士17名と薩摩藩士1名からなる襲撃部隊18名が、江戸城桜田門そばで登城途中の大老井伊直弼を待ち伏せ襲撃した事件です。今で言う暗殺事件ということになります。背景には安政元年(1854年)ペリー来航以来、外圧に屈して開国や条約締結を進める井伊に、尊皇攘夷をとなえる勢力の不満が増大。これを弾圧する安政の大獄が進められた頃です。

当日は季節外れの雪が降る寒い日で、井伊直弼の行列が桜田門近くに差し掛かったところ、行列の前に直訴状を持って「奉る!奉る!」と森五六郎が駆け寄り行列を止める。「無礼者!道をあけよ!」と駆け寄ってき彦根藩士に斬りかかる。それを見た駕籠まわりの彦根藩士も前に駆け寄る。籠まわりが空いたところで、見物を装って道脇にいた黒沢忠三郎が駕籠の中の井伊直弼を狙って短銃を発砲。その銃声を合図に浪士たちが一斉に行列に斬りかかった。左から6名、右から8名。駕籠の中の井伊直弼は、この時の弾丸が腰から太腿へ貫通して身動きが取れなかった。

kago.jpgしばしの斬り合いの後、ただ一人の薩摩藩士有村次左衛門が駕籠に取り付き、井伊直弼を駕籠から引きずり出し、とうとう首を刎ねた。

襲撃部隊の討死は1名、自刃4名、8人自首、逃亡5名。彦根藩側の被害は、討死4名、重傷後死亡4名、負傷13名。しかし、その行列にいた足軽以上の者は、殿を守れなかったとして後日全員切腹させられたとか。逃亡した浪士たちも幕府や藩から追われ、明治までの生き残りは2名。

(C)「桜田門外の変」製作実行委員会
◇ ◇ ◇

この映画では襲撃がラストになってなく、序盤にそれがあります。襲撃後に逃げ切れずに自刃する者、捕らえられた者、逃亡の果てに自害したり捕縛される者、それぞれのその後に重点をおいて話は進みます。最後に捕縛される、襲撃を指揮した関鉄之介の視点から描かれています。その関が、仲間のその後やこの事件で切腹に追い込まれた彦根藩士のその後を伝え聞き、「我らは井伊直弼の首一つ奪うために、どれだけ多くの命を道連れにしたのでしょうか。」呟くのがとても印象的でした。

映画の最初と最後に現代の桜田門前の映像が映り、そこから画面は左に回り国会議事堂が映し出されるのですが、これって、鳥肌が立つくらいもの凄いメッセージに思えました。暗殺された井伊直弼にしても、襲撃を行った水戸浪士たちにしても、それぞれの正義の旗のもと、国のことを命がけ考えて行動した人たちですね。そうして築きあげてきたこの国を、この先も守らなければ彼らに申し訳が立たないではないかと。

さて~^^、この映画の前売り券には特典の特製ブックレットがおまけについてきたのですが、この内容が映画館で販売している通常パンフレットと同じくらいの濃い内容で素晴らしい!ここで使ってる写真はすべてそのブックレットからです。

襲撃経路と各人の逃亡経路が書き込まれた古地図と、トレーシングペーパーに印刷された現代の地図。めくったり重ねてみたりすると、現在の場所が想定できて面白いです。

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(C)「桜田門外の変」製作実行委員会

トレーシングペーパーの地図を上に載せるとこう↓。浪士が集合した愛宕神社から桜田門へ、そして彼らが信念をおして歩いたであろうすじを、銀杏が色づいた頃にでも是非行ってみたいと思います。

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(C)「桜田門外の変」製作実行委員会

主な出演はこのとおり。井伊直弼役の伊武さん、徳川斉昭役の北大路さん、暗殺計画首謀者の一人金子孫二郎役の柄本さん、髭面で最初はわからなかった(笑)高橋多一郎役の生瀬さん、唯一現場で討死した稲田重蔵役の田中要次さん。みんなとてもカッコよかったよなぁ。

cast.jpg
(C)「桜田門外の変」製作実行委員会

この映画は茨城県の『桜田門外ノ変』映画化支援の会が中心になって製作まで漕ぎつけたものでした。地域振興や観光誘致につながる映画を作れないかということで、当初は水戸といえば有名な光圀公の若き日にスポットをあてた映画をと企画が考えられたとのこと。しかしながら時代的に撮影に使える名所・旧跡が数少なく、観光誘致につなげるのなら幕末を題材にするべきとなったそうです。そこで、この吉村昭原作の桜田門外ノ変が選ばたとのこと。茨城県民が立ち上げた地方創生の映画なんですね。あっぱれです!

県内の支援者、団体から制作費を集め、彦根藩邸から桜田門にかけて直線200m以上もある巨大なオープンセットが2億5000万円かけて造られました。このオープンセットは来年春まで一般公開されているので、春までには是非行ってみたいと思います。水戸ならなんとか日帰りで行けるかな~。


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Terry

「映画の最初と最後に現代の桜田門前の映像が映り、そこから画面は左に回り国会議事堂が映し出されるのです」、う~ん。政治家の先生達、良い学校出てんのに、頭の中はバカだらけですねえ。こんな凄いメッセージを受けてる政治家達って日本ぐらいなもんじゃないですか?
by Terry (2010-10-20 13:22) 

チヨロギ

日本史がまるでダメなので、時代劇はほとんど見たことがないのですが、
そーすけさんの記事を読んでると迫力が伝わって、興味がわいてきます♪
あと、特製ブックレットの地図がいいですね!
こういうの見てるとわくわくしちゃう。
実際に歩かれたら、ぜひブログで紹介してくださいね。( ̄ー ̄)
by チヨロギ (2010-10-20 19:31) 

そーすけ

Terryさんこんばんは^^
でしょー、映画始まる部分いいとして、終わってから現場を映してるカメラを引きながら国会議事堂を大映し。
すんごい嫌味だと思いましたよ。
しかしあれですな。明治あたりまでの人たちって、みんなド真剣ですね。井伊さんだって悪者みたいにされることが多いですが、これも正義なんですよね。政治家はそんな人達の気持ちを受けて仕事をしないといけないと思うんですよ。これってかなり重いはずなんですよね。
by そーすけ (2010-10-22 23:04) 

そーすけ

チヨロギさんこんばんは~
時代劇面白いです。日本史は得意かそうでないかは全然関係ないですよ~^^自分ほとんど年号なんて忘れちゃいました。
でも新選組のエピソードなんかは面白いじゃないですか。
記事を読んで迫力伝わりました?ありがとうございます♪知ってることを書いてるわけじゃなくて、調べながら書いてるので自分でも書きながらわくわくするんですよね^^;
おまけのブックレットは素晴らしいので、いつもの映画のパンフレットは買わなかったのですが、あれはあれで買っとくべきだったとなぁ^^。今度映画館へ行ったらあっちも買おうっと。
自分も持っていますが、古地図に現代の地図を印刷したトレーシングペーパーを綴じこんである本は売ってます。これって見てると楽しいですよ~。
はい、もう少し寒くなったら銀杏を観に行ってきま~す♪
by そーすけ (2010-10-22 23:13) 

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