コクリコ坂から《ちょっとネタバレ注意》 [映画・テレビ・漫画]
公開初日ジブリの最新作「コクリコ坂より」を観てきました。
初めに書いておくとこの作品面白いです。ゲド戦記に比べて、腕を上げたな宮崎吾朗って思いました。偉大な父のシナリオもいい、そしてプロデューサーの力ももちろんあるでしょうけども、総合的に面白い映画になったと思いました。自分は大好きです。
原作は1980年頃に「なかよし」に連載された少女漫画ということなんですが、自分はまったく読んだこともなければ、聞いたこともありません。作者の名前も知りませんでした(ごめんなさい)。
映画のプログラムに載ってる宮崎駿さんの映画の企画段階の覚書によると、原作は「学園紛争と大衆蔑視が引き込まれていて、少女漫画の制約を知りつつ挑戦した作品」なのだそうです。
少女漫画とは社会や風景、時間と空間を築かずに、心象風景の描写に終始するものなんだそうである。ゆえにその枠からはみ出てしまったこの原作漫画は、失敗作品と書かれていますね。
なるほど確かにそうだったのかも知れません。自分も70年代終わりまでは、少女漫画も少しだけかじっていたことがあるのでわかる気がします。でもその枠にはまっていたのはその時代までじゃないかと思うのです。以後読み手の意識が変わってしまい、その枠を越えた作品が欲しくなってしまったんだと思います。そして次々と従来の少女漫画雑誌は衰退して姿を消してしまった。
でもねぇ、親の駆け落ちとか非嫡子とか浮気などを連想させるこの話、連載誌が「なかよし」というの読者層から考えると、当時としてはかなり重い展開に受け取られたんじゃないでしょうか。宮崎さんがいう「失敗」とは、単純にストーリーがそうなのではなく、時代に合わなかったという意味合いなのかなと思っています。
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さて、いつものことなんですが、観る前は特に前情報特になし、原作も読まない。今回はいつもよりも真っ白の状態で観に行ってきました。余計な思い込みがなかった分、とっても面白く楽しめて大正解ですね~。
時代背景は1963年、東京オリンピックの前年。舞台は横浜。この頃自分は生まれてはいましたが、記憶も何もなし。それに東京・横浜には縁のない田舎で生活していたので、交通渋滞とか公害で海や川の汚染とも取り敢えずは縁がありませんでした。
とはいっても、地方の田舎にももこの流れは数年後に来るもので、街中の様子や家庭の様子、劇中に流れる坂本九の「上を向いて歩こう」の挿入歌とか、とてもノスタルジックな気分にさせてくれます。
ストーリーについては、観てのお楽しみということで、おオススメします。原作は古い少女漫画ということですから、観ると「あ~」と思うかも知れません。でも、何か感じることができるんじゃないかなと思うんですよ。自分も恥ずかしながら、振り返る良い機会になったかなぁ(意味深^^;)。90分くらいの短い映画ですので、気軽に観られると思います。手嶌葵さんの歌う主題歌、「さよならの夏」もハマリかな。元は森山良子さんの歌で1976年の歌です。
こんな時代あったなぁ。
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ちなみにTVのCMでも良く流れているのですが、主人公の少女が毎朝家の前に信号旗を揚げます。
←こんなの。
この意味は「UW」(航海の安全を祈る。[I wish you a pleasant voyage.])なのだそうです。港に行く機会があったら探してみる面白いかも。これを揚げてる船は多いようですよ。
ちなみに「くま屋」だと、こう揚げる~(揚げてどうするよ)
名前を信号旗で表してみたいとか思ったら、こちらで試せますよ♪
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原作本はこちら。
映画の脚本
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日本テレビ系ドラマ「さよならの夏」の主題歌(1976年)~歌:森山良子さん。
手嶌葵さんの歌も良いですが、こちらもさすがに良いですよ。