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崎と埼 [なんでも帳]

先日書いていた犬吠の記事の中で、崎と埼が混在してたのに気付いた。
どっちが正しいか調べて直そうと思って調べると、両方の書き方がある・・・これはどう違うのかとちょっと調べてみました。

崎も埼も、意味は概ね山脚の突出した所をそういうのだそうです。微妙な意味の違いは後に説明しますが、なんで二通りの呼び方があるかというと、見る人が陸にいる場合と、海にいる場合で違うようです。

地図帳などを作成している国土地理院は、前身が旧陸軍陸地測量部で、こちらは「崎」を使用。逆に海図を作成している海上保安庁海洋情報部は、旧海軍水路部が前身で、こちらは「埼」を使用。

とはいっても立場の違いから意地を張り合っているのではなく、海上保安庁と国土地理院は1960年から「地名等の統一に関する連絡協議会」を発足させて、地名統一を検討しているようです。とはいってももうすぐ半世紀になりますから、どのへんまで作業が進んでいるんでしょう・・・^^;。

漢字意味の話ですが、山へんの「崎」の場合は本来の意味は、険しい山の山脚が突出した所を示し、山地の鼻が平野の中に突出したところを指します。土へんの「埼」の場合はもう少し意味が限定され、陸地(平地)が水部へ突出したところという意味があるようです。そのため海上保安庁では、漢字の意味からも地形のわかる「埼」を採用しているようですね。

海図を使用する航海者が、地名から地形が判断できるようにとの配慮のようです。たとえば犬吠埼は、「犬吠」が地名で、「埼」がそこの地形を表現しています。明治時代の海軍水路部から同じ運用をしているようです。今と違ってその場所の地形など情報が乏しい時代でしょうから、名前だけで最低の情報はわかるようにしたんでしょうね。

個人的にはこのこだわりの使い分けはとっても好きです。漢字の意味の違いから使い分けるのは当然。船乗りにとっては、「埼」名前が付くと海に突出した地形であることが想像できたんでしょうかね。

P1010042a.jpg
(地球の丸く見える丘より犬吠埼方面を臨む)

◇  ◇  ◇

では埼玉は?ん~、ちょっと調べると古くは武蔵国の北東部を指して「さきたま」と言われ、「埼玉」と字をあてたことから。現在は埼玉県の北部を指すとのことですが、あれ?海に突出したところが「埼」ではなかった?ん~、武蔵国の北側は昔も海ではなかったはずだし・・・。ということは、武蔵国自体大きく見ると海に突き出た地形「埼」であって、その北側の位置になる所を「さきたま(埼玉)」としたんでしょうか。わかりませんなぁ^^;


タグ: 犬吠埼
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チヨロギ

崎と埼のふたつの表記があることは、以前からとても気になってました。
なるほど、こういう事情があったんですね~。
おかげでスッキリしました! ありがとうございます(^.^)
日本地名研究所所長の谷川健一さんが書いた、
『日本の地名』という本をむかし読んだことがあるのですが、
水害が多い土地だとか、特定の職人さんが集まった町だとか、
地名には豊かな歴史や情報が刻み込まれているんですよね。
地形を表現した「崎」と「埼」もまさにそう。
市町村合併で味気ない地名とか、歴史を無視した地名に変えるのは、
お願いだからやめてほしいですね。
ちなみに私、いまは無き浦和市の生まれです( ̄ー ̄;)ゞ
by チヨロギ (2009-02-02 01:50) 

そーすけ

コメントありがとうございます。^^
自分もすっきりしました^^;こういう理由からなんですね。
古くからの地名が失われることは、なんとももったいないことだと思います。ましてや市町村の合併で安易な名前に変わってしまうことに疑問を感じていました。同じことを思う人って少なくないですよね。安心しました。
ある意味庶民文化の破壊だと思うんですよね。地名の由来を聞いてなるほどと思うことって意外とありますからね。ほんっと、これ以上破壊しないで欲しい。
チヨロギさんは浦和生まれでしたか。浦和市もなくなりましたね。だけど駅名はまだたくさんあるんですよね^^。
by そーすけ (2009-02-02 23:27) 

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